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国際開発ジャーナルの元編集長の荒木光弥氏の、同ジャーナルでの30年近く続いている連載の90年代分をまとめたものがこの本です。
90年代における日本のODAの歴史、意味、改革などを著者の視点でいろいろとかかれてありました。この本はそこまで印象に残ることはありませんでしたが、なるほど、と思ったのは、日本のODAに関する(多分多数を占めているであろう)否定的な意見、というのはメディアの一方的なものであり、悪い事例のみを拾って大々的に広めるために、実際のODAのインパクトというのがキチンと理解されていない、ということです。 基本的に戦後のアジア賠償という形をとり、そして経済協力と呼ばれるようになり、10年くらい前まではいわゆるタイド方式(日本の業者、製品がバンドルされた、いわゆるひもつき援助)がほとんどだったのが最近ではほぼ100%アンタイド化が実現されているようです。 日本の業者などとの”癒着”をなくすためのアンタイドと見られているケースが多いのですが、これの意味するところは、お金だけは日本政府から出させて、仕事などの部分は”世界標準”の欧米の企業・コンサルが受注するということを意味しているわけで、「日本の顔が見える援助」というテーマを考えたときには?マークがつかざるを得ないアンタイド化、という説明がありました。 あとこれもよく批判されている点の一つは、日本のODAはその多くがグラントではなく、ローンであるということでしょう。つまりタダであげるんじゃなく、円借款という形で貸付をしている、という部分です。私も前までは、他の欧米のグラントの率が非常に高いものを前にしていたので、日本のなんか、がめつい部分が露骨にでてるな、と思っていたのですが、これもどうやらそこまで正しい認識ではなく、日本側の哲学である、「自助努力」ということを実践していく機会を、日本のODAのプロジェクト、という形で提供しているということのようです。 貧しい国に一方的に物を寄贈しておしまい、というのではなく、橋などを作るときにその造るノウハウから、それを管理運営していくノウハウまでしっかりと教えて、作っただけのハコ物に終わらせない、というビジョンがあるようです。マイクロファイナンスに注目が集まって久しいですが、このような日本のODAの政策と言うのは、まさにマイクロファイナンスの巨大版、ということでしょう。ちゃんと自分たちで管理していけるようにしてく、というものだそうです。(だったら日本の公共事業のハコモノもそんなやり方で、ちゃんと田舎のコンサートホールの運営ノウハウとかも教えてほしいもんですけどね・・・。あとつなげたかったからつなげてるようなでっかい、なんこ同じところに造ってんだとい橋も然り・・・) ただこれはこの本にも指摘されていましたが、基本的にODAというのは日本政府、そして官僚主導で行われてきた歴史しかないため、その説明をしていく、という作業の質が非常に悪い、ということがこのODAの国民の理解不足を生んでいるようです。このためにマスメディアがたまにとりあげる悪いケースの印象だけが国民に広がっていってしまう、ということがあるようです。「下々の連中」には特に説明する必要がない、ってな感じでしょうかね。・・・まぁそれは言い過ぎとしても、ここで重要なのは広報ファンクションであります。政府であろうと、しっかりとこの広報ファンクションを強めていかない限り、なんの理解も国民から得られない、ということでしょうね。アカウンタビリティなんていってる張本人がそれを果たしてない、という矛盾と一緒でしょう。(そう、それは厚生労働省が自分の省内の残業は法律の適応外、というオチと一緒でしょうか。)
by takaakinet
| 2005-10-01 19:51
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